歴史、聖書を見つめると、各時代を生きる各世代(generation)に時代的天命があったことが分かる。 出エジプト世代にはエジプトから脱出してカナンに進む天命があり、ヨシュア世代の場合、カナンの土地で新しい国家を建設する天命があった。 そして各世代が各自にまかせられた天命を果たすかによりその後代の人生に大きい影響を及ぼすことになる。

過去100年間の韓国の歴史をさかのぼると、やはり明らかに各時代の天命があった。世界史の転換期で新しい文物を受け入れて国家の新しい秩序を形成していなければならなかった旧韓末世代、日帝統治下で独立という時代的課題を担って生きてきた世代、戦争の中で国を守らなければならなかった世代、深刻な貧困の中で貧困克服と経済成長という課題を成し遂げなければならなかった世代、民主主義をこの土地に定着させる役割を担った世代、そして今この時代を生きていく人々は私たちの先輩世代らに‘豊かさ’と‘自由’という歴史の光を与えた世代ということができる。 そういった意味で今この時代を生きていく世代の時代的使命は‘統一’であることは事実であろう。それではこのような統一問題をいかなる視覚で見つめるべきであろうか。

正面から見つめ、回避してはならない。

私たち韓国の社会の一部には統一問題および北朝鮮問題を‘私とは関係ない問題’とし、意識的に回避しようと思う傾向があることが事実だ。 失業率がますます高まり経済的に苦しい現実の中で統一問題に対する悩みと関心は自身とは遠い問題と捉える余地もある。 しかし、歴史の流れの中で時代史的な波は結局巨大な津波とともに私たちの個人的な人生を上積みしていくであろう。 統一はもう時代の使命、いや時代的必然といえるだろう。

その時期と方法は予測できないが韓国、北朝鮮の1人当りGNI(国民総所得)格差が10年前の15倍差、2010年基準20倍差とより一層深刻化されている状況で現在のような南北分断の現実は変化するほかはなく、北朝鮮の3代世襲が現代の文明史の流れ、および神様の公議に反するということだということが明らかな以上北朝鮮政権やはり自らの意志、他意によるものかは分からないが変化するほかはないということは十分に予想できる。 すなわち、今は私たちが願おうが願わまいが、統一は歴史的必然である。 100年余り前、朝鮮王朝の運命が日帝の強制併合によってその終末を迎えていた時期、そういった時代の流れを読めず、個人的次元の安寧にだけ没頭していた朝鮮の国民がいた。 彼らは彼らも気づかない間に日帝による朝鮮王朝滅亡という巨大な津波に巻きこまれ、日帝時代という恥ずべき時代の中で個人的次元でも苦痛を味わい生きていくほかはなかっただろう。 同じように歴史的必然で近づく統一に対しても正面から見つめる準備をしない限り各自の人生にも津波のように災難が押し寄せてくる。

統一が津波のような災難になるのか、まるで船を前に進める力強い波のような役割を担うことになるかは私たちが歴史的流れを分別し、正面から現実を直視するのかどうかにかかっている。

総体的視覚、幅広い見解を備えなければならない。

北朝鮮問題を見つめる時には総体的視覚、幅広い見解で見つめる姿勢が必要だ。 筆者が弁護士として活動していた時期、法律講演、特講など様々な経路を通じて北朝鮮の多様な階層出身の約2～3000人余りの北脱出者に接することができた(現在の国内居住北脱出者数が2万 3000人程度、その中で少なくとも10%以上は対面した). 過去、苦難の行軍時代平壌（ピョンヤン）でも食糧難に苦しめられたとするが、食糧難があったのかどうかわからなかったほどの高位職の両親の元で幼い時期を過ごした脱北者、勤めていた職場同僚が地下教会信者という理由でとらえられていく状況を目撃した脱北者、強制北送を経験した脱北者など私たちの社会とは比較できないほど各自の出身階級(北朝鮮の言葉で‘土台’)によって北朝鮮社会に対する理解度が異なる多様な北朝鮮離脱住民たちとの接触は北朝鮮社会を総体的に理解して、統一に対する研究において基本的な方向性を形成するのに非常に役立った。

そういった過程を通じて、政治的な立場にともなう選別的考え方の限界、そして私たちとは比較できないほど各自の出身階級(土台)により北朝鮮社会に対する理解度と立場が異なる北朝鮮住民に対する理解不足、必然的に北朝鮮政権の見解を含んでいるほかはない北朝鮮の文献中心研究の限界、このような原因が北朝鮮および統一問題に対する誤った判断となり、他人同士の葛藤を招いているという事実を発見することになった。 このような誤った判断と葛藤の理由の中で政治的な立場にともなう選別的考え方の問題が最も大きい原因というが北朝鮮住民たちに対する理解不足はやはり重要な原因といえる。
北朝鮮はすでに1960年代末、全住民を3つの階級、54階層で分類し、住居、配給、昇進などで総体的な差別をともなう階級制社会で40年余りを過ごした。　また、北朝鮮は居住以外の自由が保障されていなく、自身の居住地域以外の地域に対する情報もまた、顕著に不足した状況だ。このような理由により北朝鮮住民といっても各自の階層的位置により北朝鮮社会に対する理解度と忠誠度が顕著な差が存在するほかなく、このような差は私たち韓国住民の経済的階層にともなう韓国社会に対する理解の差とは比較できないほどである。 一言で北朝鮮専門家といっても5～600万人と推定される北朝鮮の核心階層を主に接する人々の北朝鮮に対する判断と北朝鮮で敵対階層に分類されて底辺生活をする1000万人の基層民衆に接してきた人々の間には北朝鮮に対する理解度の差が存在するしかない。 これは北朝鮮離脱住民の場合も同じことで彼らが北朝鮮で属した階層により彼らが聞かされる北朝鮮社会に対する話は違わざるをえなく、そういった共通点と違いを総体的に理解してこそ北朝鮮社会全てを理解することができるようになる。

結論として、各自の政治的な先入観を取り除き、総体的な視覚で北朝鮮および統一問題を見つめることになれば私たち韓国社会での北朝鮮に対する立場の差もかなり解消されるだろう。


‘公義’の観点で見つめなければならない

神は‘愛’の神であるが罪を憎み‘公義’に基づいた審判の神である。 このような点で私たち自身を含むこの地球のすべての国と権力者は神の公議に基づいた審判の対象になる。 歴史的な観点においても、不正な政権はたとえ審判の時期は違っても確実に神の歴史的審判を受けており、これは歴史を主管する神の普遍的公議の実現である。 したがって北朝鮮政権が引き続き民衆らの苦痛に耳を傾けずひたすら政権維持だけに没頭し、圧迫するならば神の峻厳な審判は避けられないだろう。

ところで私たちの社会の一部には北朝鮮住民たちがキム・イルソン一家に対する異常なほどの忠誠心は、あたかも宗教のような主体思想に陥っており、尊重すべきであり、このような南北間の差を認めることにより南北間の和解と平和を成し遂げることができると主張することもある。 しかしこれは少なくとも苦難の行軍以降の北朝鮮住民たちの変化を誤認した主張である。閉鎖社会と幼年期からの一方的な教育により過去にキム・イルソンに対する忠誠心が広範囲に広まっているのは事実だが、苦難の行軍以後、またこの10年間余りの南北交流の効果によって多数の北朝鮮住民たちは北朝鮮体制の実状を悟ったと見える。これに対し、10年程前に北朝鮮を脱出したある北脱出者は、“自身は脱北した後にも相当期間キム・イルソン、キム・ジョンイルに対して尊称しなければ不安感とぎこちなさを感じたのに、最近北朝鮮の現地住民が携帯電話で自身と通話しながらキム・ジョンイル悪口を言うのを聞いて衝撃を受けた”と話した。

また、苦難の行軍以後、北朝鮮の教育体制が崩壊し、進学年齢世代に既存の主体思想などの体制教育がまともに成り立っていない事実も、少なくとも将来、北朝鮮の若い世代は決して北朝鮮の既成世代と同じではないことを予想できるだろう。 いわゆる市場世代など市場経済を味わったり、貨幣改革で富を国家に強制的に奪われた勢力らも決して北朝鮮政権に好意的でないだろう。

また、一部の見解では北朝鮮が社会主義または、共産主義体制として資本主義の問題点に対する一つの解決策として機能することを期待する幻想を抱いたりもする。しかしこれはすでに北朝鮮が社会主義、共産主義から抜け出し、わゆる儒教的封建王朝体制で変化したという点を見過ごした主張である。 北朝鮮は1972年、憲法改正を通じて指導理念にいて‘マルクス-レーニン主義’を削除し、代わりに‘キム・イルソン主体思想’を明示し、1998年憲法ではあたかも龍飛御天歌（朝鮮の創業を讃美した歌）のようにキム・イルソンの業績を憲法序文に記載することによりキム・イルソン憲法であることを宣言しただけでなく、2009年4月9日、もう一度憲法改正を行い‘共産主義’を削除して(北朝鮮憲法第43条),北朝鮮が目指す社会体制が共産主義でなくキム・イルソンが主張した主体思想であることを明らかに宣言した。それだけでなく国防の目標として‘革命の首脳部保衛’をその目標に追加し国防の目標の中で‘革命首脳部保護’が人民を保護するのと対等であるよりもさらに重要であると感じられるようにした(北朝鮮憲法第59条)。 すなわち北朝鮮はすでに共産独裁でもなく単なる‘キム・イルソン封建王朝’に過ぎないのである。

何より、上記のような主張は価値に対する判断が省略された主張だ。 いくら統一が私たちの目標といってもキム・イルソン王家の存続を認めながら成し遂げる統一にどんな意味があるだろうか? 私たち韓国が追求してきた民主主義の価値はどこへ行ったのか? 一般的に和解というのは響きのいい言葉でも、善悪の問題または、公義の問題において和解は不義に対する妥協に過ぎないのだ。

一方、こういった点をすべて理解しながらも北朝鮮の人権などの公義の問題を直接的に取り上げ論じるのは方法論的に適切でなく、南北交流協力を通じて徐々に北朝鮮住民たちの生存権を保障し変化を企てるべきだという主張もある。代表的な例として北朝鮮人権法の制定趣旨には同感するが、方法論上あからさまに強く出るのは適切でないという主張だ。 一理がある主張だ。しかしすでに私たち韓国のように分断を体験したドイツの例にとると違った考えを持つ余地がある

西ドイツは1961年8月13日、東ドイツがベルリンの壁を建設し脱出者らに銃撃を加えるなど問題が発生するとSalzgitterに東ドイツ人権記録保存所を設置し1990年の統一まで約4万件の東ドイツの人権侵害事例を収集した。 1972年、東西ドイツ基本条約締結以後、政治的、法的に東ドイツ人権記録保存所の存廃に対して西ドイツ内部でも多くの葛藤があったが結論的に東ドイツ人権記録保存所の存在は東ドイツ住民たちが体験した侵害を西ドイツが関心を持っているという一種の心理的期待効果、東ドイツ執権者らには自分たちの人権侵害行為を西ドイツで記録しているという負担感にともなう一種の警告的効果があったことが明らかになったことがあった。

南北関係に適用してみても北朝鮮体制が安定的である時にはこのような北朝鮮人権に対する問題提起が北朝鮮既得権層をさらに内的に強化する方向として作用するであろう、しかし現在のように不安定な状況ではむしろ後に韓国中心に統一される時の不利益が恐ろしくて極端な人権弾圧政策の執行者の位置につくのを互いに避けようとするだろう(実際に後述するようにドイツ統一過程で当時18年間執権を持った東ドイツ共産党書記長ホーネッカーは東ドイツ民主化デモに対する武力鎮圧を主張し共産党内部で拒否され失脚したこともある). すなわち生存権に対する配慮を通した漸進的な変化政策も重要だが北朝鮮人権に対する問題提起がそういった政策と両立不可能ではなく、北朝鮮人権に対する持続的問題提起やはりその効果がすぐにではなくても明確に中長期的な観点で大きい意味を持つだろう。

一方では北朝鮮住民たちは民主主義を経験したことがなく自主的に民主化を主張する可能性はなく、北朝鮮の民主化には多くの北朝鮮民衆が犠牲になりことは明らかであり北朝鮮民主化を叫ぶのは無責任だという主張もある。生命を大切にするこのような主張の趣旨は十分に耳を傾けるだけのことはあり、北朝鮮の民主化は北朝鮮住民たち自らが決める問題であって私たちが人為的に強制できる問題とすることが難しいことは事実だ。しかし普遍的な歴史の流れを見つめると時期の問題もあるが、結局北朝鮮も民主化の熱気を避けることは難しく、むしろ統一以後を考えると必要な過程だということができる。

1970年代のスペイン、ギリシャ、1980年代中盤のフィリピン、1987年の大韓民国と台湾、そして1989年の東ヨーロッパと東ドイツ、ロシア、2011年の中東に至るまで民主化は各国民の自発的な抵抗によって行われた。このような民衆の抵抗なしに独裁政権が自ら、徐々に民主化した例は歴史上存在しない。また、民主主義を経験したことがない中東地域でも2011年民主化革命が起きた事実、そして過去朝鮮王朝時期にも東学農民革命など民衆らの革命試みがあったという事実があったように圧制に対する抵抗は人間の普遍的本性に基づいたものであり、必ずしも民主主義を経験しなければならないということはない。
それだけでなくこのように国民が自ら民主化を成し遂げた時、国民ははじめて真の主権者となることができる。そしてここに神の主権的恩恵があれば、血一滴流さなかった無血革命で東ドイツ共産政権を没落させた1989年10月の東ドイツ民主革命のように北朝鮮でもやはりそういった奇跡が起こるだろうと信じ、そうなった時、北朝鮮住民たちが統一した国家で2等国民でなく対等な国民として堂々とできるだろう。 したがってこういった観点で北朝鮮の変化を見守り、準備する必要もある。

聖書においても神の公義に敵対した国家、政権は神の計画により必ず崩壊した。たとえ人間の時と神の時が違いその時期を予測できなくて、忍耐が必要なこともあるが、そういった聖書的事実と、歴史的事実は明らかだ。このように北朝鮮政権および北朝鮮の政治体制に対して私たちは‘公義’の観点で明確に‘善悪’に対する判断をしていなければならない。 これは‘南北和解’と‘相互理解’、‘譲歩’等の生半可な言葉で妥協できる問題でなく‘善と悪’、‘正しい、正しく’の問題であるが故だ。


愛の観点、全能な神を信頼する観点で眺めなければならない

しかし、私たちがひたすら北朝鮮政権に対して‘公義’に基づいた‘偉大な怒り’の次元で留まることはできなく、そうしてはならない。 私たちは‘敵を愛しなさい’というイエス様の至上命令に従うべきで私たちの知覚を越える歴史を主管する神の全能な主権的介入を信頼しなければならない。

‘公義’の観点だけを強調する立場では北朝鮮に対する人道的支援、南北交流協力が悪化した体制を維持させるため、これを中断するべきで朝鮮キリスト連盟や北朝鮮の鳳岫教会などとの交流も無意味だともいえる。

しかし北朝鮮政権の配給制を回復させて住民に対する統制を強化させる恐れがある北朝鮮政権に対する食糧支援または、長期的備蓄および軍用米として専用できる米類の支援はできるだけ避けるべきだが北朝鮮住民に対する直接的支給、特に北朝鮮の乳児らに対する食糧、医薬品などに対する直接支援は今後の統一に備えても必要だ。また、1960年代末いわゆる‘接触を通した変化(Wandel durch Annaeherung)’において象徴される西ドイツの東ドイツに対する交流協力政策が結局東ドイツ住民たちを目覚めさせ東ドイツ共産政権に対する批判意識を鼓吹させたように南北間にもその方法は慎重に行う必要があるが、交流協力自体は持続する必要がある。

接触を通した変化の幅と方向は私たちの考えの範囲を越えて成り立つ。例えば1980年代北朝鮮は韓国の学生デモを常にTVを通じて放映し北朝鮮体制の優越性を教育する手段として活用したという。当時北朝鮮のTV普及率と照らし合わせると、これは北朝鮮の高位層に対する広報効果を狙ったと見られる。 ところで当時北朝鮮社会のエリート大学生としてTVを視聴した多数の北朝鮮離脱住民たちが共通して、北朝鮮政権のそういった広報目的とは違ってTVを視聴し画面に現れた韓国大学生らの身なり、時計、バス、舗装された道路などを見て彼らは北朝鮮政権の意図とは異なり韓国が北朝鮮より良い暮らしをしている事実を知り、衝撃を受けていたと証言している。これこそが私たちの知覚を跳び越える接触を通した変化の一つの例ということができる。

また、苦難の行軍直後までとしても北朝鮮特有の閉鎖的社会および教育により北朝鮮の高位層を除いた一般北朝鮮住民たちの場合には韓国の豊かさと自由に対する情報が遮断されており、北朝鮮政権に対する漠然とした忠誠心がかなり存在していたが、この10年間余りの南北交流を通じて韓国の豊かさと自由に対する情報が北朝鮮住民たちに全般的に広がり、これにより北朝鮮住民たちの北朝鮮政権に対する忠誠度が顕著に低くなったのも接触を通した変化の効果の一つである。こういった点において大胆な先制的交流をする必要もある。

北朝鮮の鳳岫敎會、チルゴル教会が北朝鮮政権による御用教会、偽教会であることは明らかだが、そうだとしてもむしろ大胆な先制的交流を通じてこれを積極的に活用する必要がある。朝鮮キリスト教連盟との交流を通じて韓国の牧師が鳳岫敎會、チルゴル教会で説教を行い、平壌体育館で平壌の高位層が参加するようにし、称賛集会を開けばどうなるだろうか? イエス様を信じない人々を先導し礼拝に一度でも参加するようにさせるのはかなり難しいことだ。ところで宗教の自由を認めているという体制宣伝のために北朝鮮政権がそういう礼拝を許諾して平壌市民らを強制的に礼拝に参加するようにするならばこれは福音伝播において非常に大切な機会になるだろう。彼らは党性が強く偽信者だといってもこのような礼拝に全能な神が送られた精霊の火が強くなれば十分にそういった奇跡が起こるだろうと信じられる。このような逆発想は全能な神の主権的介入に対する大胆な信頼がある時に可能であり、すでにドイツ統一過程の中で検証されたことがある。

1989年春以来、東ドイツ民主革命の聖地の役割を担ったニコライ教会で開かれている‘月曜祈祷会’に東ドイツの民主化を熱望して参加する人々が次第に多くなるとすぐに東ドイツ政権は秘密警察として知られている国家保安部(Stasi)要員らを礼拝に出席させ監視しようとしたが秘密警察はむしろ担任牧師のクリスチャンヒトラー(Christian Fuhrer)牧師の説教を何度も聞いて感化され、東ドイツ民主革命の分岐点になった1989年10月9日ライプツィヒデモ当日の日にも数百人の秘密警察は礼拝に受動的に参加しただけで礼拝自体を邪魔できなかった。そして当日夜ニコライ教会を出た2000人余の信徒らを筆頭とするいわゆるライプツィヒの数万人のデモ隊を鎮圧しようと待機した軍・警察兵力の自主的撤収という奇跡が起こったのだ。そしてそれから9日後の1989年10月18日、18年間東ドイツ政権を支配してきたエーリッヒホーネッカーが東ドイツ社会主義統一党内部の反発で失脚することになり、いよいよ東ドイツ政権が崩れることになった。 全能な神の全権を信頼して進むならばこのような奇跡がこの地にも起こることを確信する。

また、北朝鮮政権内部に存在する7000人に対する期待と希望を抱く必要もある。 アハブ王の治世下でも神はバールに屈しなかった7000人を予備した。したがって北朝鮮政権の圧制下でも同じように屈しなかった者を予備するだろうと私たちは信頼するべきだ。

最後に、自ら生まれる場所を選択できない、‘出生’という人間の根源的限界によって北朝鮮に生まれてその体制の下で構造的な圧迫を受けながらも時には北朝鮮政権に協力しながら生きていくほかはない運命に処してしまった北朝鮮住民たちを哀れに思う必要がある。 また、自ら自分たちがどれくらい途方もない罪を犯しているのか正しく知らないまま、神の永遠の刑罰と審判を目前にしている北朝鮮政権の中心部に対する哀れな視線もやはり私たちがクリスチャンとして心の片隅に置いておく必要がある。

ふと考えるとこのように‘公義’と‘愛’を同時に主張することがあたかも両非論または、両是論と同じように見えることがある。しかしこれは決して単純に機械的均衡を意味する両非難論または、両是論でない。このような観点は徹底的に神の気立てに基づくことで神の全能と歴史を運行する絶対的主権に対する徹底した信頼と大胆な信頼を土台にすることだ。公義を強調し、または北朝鮮政権の陰謀と体制を恐れ、北朝鮮をサタンと対等な水準で格下げさせる愚を冒してもならなく愛を強調する余り罪の問題を見過ごしてもならないということだ。

神は過去1982年1984年1985年の3年にかけてブレジネフ、アンドロポフ、チェルネンコの3人の旧ソ連最高指導者らの生命を持ち去ることで当時50代半ばの改革志向の指導者ゴルバチョフを突然登場させてドイツ統一を導かれたように歴史を主管される方だ。そして南北統一がドイツ統一より先だというドイツの人々の予想を裏切って誰も予想できない奇跡のようなドイツ統一を成し遂げられたりもされた。このような神に対する絶対的信頼、神の子たちの祈りと苦痛の嘆きに必ず答えられるお言葉に対する絶対的信頼、神の時と方法を分別する知恵に目覚めた霊眼、蛇のごとく賢く鳩のように純潔な大胆な行動、これこそ私たちが持つべき統一に対する見解である。

このように、統一が私たちの世代の時代的天命であることを明確に自覚し正面からまた、総体的に見つめる時、‘公義’の観点で善と悪に対する明らかで断固たる態度を取りながらも‘愛’の観点を心の中心に抱き神の全能な主権的介入を信頼する開かれた心と確固たる信頼で見つめる時、少なくとも私たちのクリスチャンの間では政策的差、役割の差が存在するとしても、これ以上お互いを不必要な憎しみと不信の気持ちで見つめさせる‘韓半島の葛藤’は消え、北朝鮮住民たちの‘自由回復’、‘生命回復’、‘福音伝播’のための監督者の心、一つになった心で前に進むことができるようになるだろうと信じている。

 

ジェソン <송인호 한동대 교수, 변호사>　<韓東大教授、弁護士>

번역=나카무라 슈토  shuto0715@hanmail.net

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